自分の評価を上げるためにやっているつもりなのに、思うような評価が得られない場合は、あなたの力の入れるべきところが間違っているかもしれません。
仕事での評価というのは、「頑張っている量」と「評価」が必ずしも比例しているわけではありません。
だからと言って、あなたの能力が低いわけでも、スキルがないわけでもありません。
ほんの少しだけ、努力の方向性を変えていくだけで、あなたの評価は激的に上がっていきます。
評価は信頼を勝ち取れば上がる
あなたが評価されにくい理由のひとつとして、まず「評価を上げたい」「評価されたい」という自分の思いだけが先行してはいませんか?
それがいつの間にか、「認めて欲しい」「認めさせたい」という行動となっていくために、それが評価されない要因となってしまっているという皮肉な結果となっている可能性があります。
まず始めにお伝えしたいことは、あなたがやらなければいけないのは、評価されるための行動ではなくて、あなたが信頼される人間になることです。
では、どうすれば信頼される人間になれるのでしょうか?
信頼を勝ち取るためのヒントは、日常の中にあります。
あなたは、ペットを飼育したことがあるでしょうか?
最もわかりやすいのは、犬や猫だと思いますが、これらの小動物の行動を見ると、人間に懐く、懐かないというものがあります。
動物の行動はとてもわかりやすく、信頼している人にしか寄り付かず、懐きません。
これがどうして起こるのかと言えば、生物はみな、「自分の身の回りのお世話をしてくれる人」を信頼するからです。
小さな子供でもそれは同じで、人間も生物である以上は、同じことが起こります。
犬は、飼い主には懐きますが、見ず知らずの人にはあまり近づきませんよね?
家族が複数いる場合、いつもかわいがっている人の近くにいたがりますよね?
子供も、父親よりも母親にばかりくっついていきますよね?
これは、日頃の小さな行動を無意識的に観察していて、「自分に出来ないことをいつもやってくれる人」に信頼と安心を寄せているためにとる行動です。
この構図は、大人になっても、社会へ出ても同じで、「困っていることを解決してくれる人」「かゆいところに手が届くような人」「自分の身の回りのことをやってくれる人」を信頼するため、その人への評価は高くなり、それと同時に「大切な人」としてまわりから守られるようにもなります。
この現象をヒントにすれば、あなたが信頼を勝ち取るために何をすればいいのかはすぐに理解できるはずです。
信頼を積み上げるための仕事術
あなたが思うように評価されていないのは、あなたがダメなわけではなく、力のいれどころが少しずれているだけの可能性があります。
このずれは、仕事を依頼する側も、依頼される側も無駄なエネルギーを発生させてしまうので、上手くマッチングさせることさえ出来れば、信頼も上がり、評価も高くなり、互いにWIN-WINの関係が結べます。
あなたはまず、仕事を依頼してくれた相手のニーズを理解しているかどうかです。
例えば、「かつ丼を一人前お願いします」と頼まれて、「わかりました」と答えたまではいいのですが、「こちらのほうがおススメなので親子丼にしました」といった対応をするとどうでしょうか?
また、「かつ丼にソースをかけて食べると美味しいので、ソースをかけておきました」といった対応をするとどうでしょうか?
「食べやすいはずなので箸ではなくスプーンとフォークをつけておきました」といった対応をするとどうでしょうか?
これは極端な例ではあるのですが、どのような業務であっても、このような仕事をやっていないかどうかを振り返ってみるといいでしょう。
これらの事例でも、「カツが品切れになってしまった」「箸のストックがなくなった」という事情があるのなら、待ってもらう、違うもので食べてもらってもいいかどうかをまずはお客さまに確認しなければいけません。
ソースを勝手にかけるのではなく、ソースをかけて食べるという選択肢もあるのでお好みでどうぞ、という情報提供だけで十分です。
頼まれた、任された業務の満足のいく点がどこにあるのか?何がゴールか?何を求められているのか?をきちんと理解して、それ以上でもそれ以下でもないものを提供することが、仕事というものです。
完璧にすることは出来なくても、過不足なく、需要と供給のギャップが小さければ小さいほど、良い仕事をする人として評価されます。
この、依頼主からのニーズは、場面によって違うので、始めにきちんと聞いておくこと、理解しておくことによって、より正確な仕事が出来るようになります。
時間をかけてもいいから、きちんとしたものを完成させてほしい。
適当でもいいから今日の午前中に済ませて欲しい。
といったように、仕事のニーズは変化していきますが、そこに自分のこだわりであったり、評価だけを気にしたようなものを提供すれば、ニーズとのズレが生じてしまって、評価されにくくなるとういことです。
まずは、ニーズをきちんと聞く。
そして、そのニーズに出来る限り応え、満足のいく結果に近づけるように取り組む。
という二つのことを徹底していくと、おのずと「よくわかっている人」として信頼が高くなっていきます。
やり取りの往復回数を増やしていく
信頼の反対には、不信感というものがあります。
この「不信感」を持たせるようなことを回避していけば、おのずと信頼は上がります。
不信感は、「勝手なことをする」「頼んでもいないものを差し出す」「いつまで待ってもやらない」といったことから膨らみ始めます。
信頼を積み上げていくためには、相手のニーズに応えることが大前提でもありますが、その業務を進めている最中でも、密に連絡をとって、報告したり、質問したりといったやりとりの往復回数が多い方が信頼は深まりやすいとも言われています。
人間は、「わからないもの」を嫌う傾向にあり、きちんと報告しない人、自分勝手に振舞うひとを信頼しなくなります。
ゴキブリを発見した時、なぜ恐怖や不安、不快感を覚えるのかを知っているでしょうか?
ゴキブリは、止まっていると思ったら急に素早く動いたり、壁でも床でも天井でもどこへでも不規則に動きまわります。
急にこちらに向かって飛んでくることもありますし、見えないところへ隠れたりして、時間が経ったら再び現れたりもします。
この、「次の行動がわからない」というゴキブリの性質に、私たち人間は驚いたり、恐怖したり、あたふたと慌ててしまったりするのです。
このことからわかるように、とにかく人間は「わからないこと」「不規則に動くもの」を嫌う傾向にあり、心が落ち着かないために、安心感を得られないように出来ています。
これも極端な例ではあっても、こうした不快感を与えるものの逆の行動をとってあげることで、「安心できる人」として評価されるようになり、信頼を置いてもらえるようになれます。
そのためにも、「次はこのようにします」「こうなりましたが、どうしますか?」などいった連絡をこまめにとり、そのやり取りの回数を多くするほどに、あなたの行動はわかりやすくなるため、とても好まれる人材となります。
また、人間には単純接触効果という心理作用もあるために、やりとりの回数が増えれば増えるほどに、自然と信頼関係が結ばれていくものですので、意識してやってみるといいでしょう。
信頼を勝ち取ろう!
信頼を得たい場合、まずその目的を「相手の満足度」に置いてみることから始めましょう。
あなたの目的が、「誰かに勝つこと」「誰かに認めさせること」であったりすれば、それは仕事としては成立しにくく、余計に評価されない、信頼されない結果を招くことは間違いありません。
依頼主 「自分では出来ないから困っている。誰かやってくれない?」
自分 「それは私が出来ますので、やらせてもらっていいですか?」
依頼主 「では、お願いしてもよろしいでしょうか?」
自分 「わかりました。では取り掛かってみます」
「これでよろしいでしょうか?」
依頼主 「ありがとうございます。とても助かりました」
「また何かあれば、お願いしますね」
自分 「こちらこそ、ありがとうございました。またお願いします」
これが仕事の原型であって、当たり前のやりとりです。
何かを依頼された時には、あなたが信頼を勝ち取るための大きなチャンスですので、必ず相手の期待に応え、満足度を高めることだけを意識してみることです。
一度でも、自分の色を強く押し付けたり、頼まれたことをきちんとこなせないことがあると、次からは頼まれることはありません。
そして、それが繰り返されていってしまうと、あなたという人材に誰も仕事を頼まなくなっていきます。
安易に考えてしまっていても、それはいずれ自分の生命に関わること、家族の生活にも降りかかってくるものですので、仕事のひとつひとつ、その全てがチャンスだと思って取り組むことが大切になります。
全てが最初で最後、その一回がラストチャンスだと強く意識して、きちんとした仕事とその結果を提供していくことによって、積みあがった信頼が、いつか必ずあなたへ大きな評価として返ってきます。
やってみましょう。
小さなことの積み重ねは、いつか大きな力となります。