自分の人生が、良きものとなるのかそうでないのかは、全て自分次第です。
もちろん、過酷な環境下で育ったり、思いもよらない出来事によって、苦しい思いを強いられることもあります。
それでも、自分の人生を、自分自身が諦めることなく変わり続ければ、感じる世界は変わっていきます。
人生そのものは、別の何かの存在が物語を創っていて、それらに操作されて決められた運命の中で生きているわけではありません。
仮にもし、そのような力を持つ、神のような存在がいるとすれば、それは自分自身です。
自分の「生き方」そのものが、自分の人生という物語を創っているにすぎないので、どんな状況であったとしても、人生は変えられます。
ここでは、アドラー心理学の「嫌われる勇気」をヒントにしながら、ライフシフトしていくための考え方、生き方を学んでいきましょう。
過去が今に与えている影響を書き換える
アドラーは、「トラウマは存在しない」と唱えています。
人は、一度でも心や体が傷ついたり、辛い思いをしてしまうと、その後の行動に何かしらの影響が出てしまいます。
これは、まぎれもない事実であって、人間が学習する生き物である以上は、仕方のないことです。
ただ、本来は「学び」であるはずの経験が、「トラウマ」と呼ばれる固定化された強い記憶となってしまうと、その後の人生の足かせとなってしまい、とても生き辛さを感じてしまいます。
確かに、この強化されてしまった過去のネガティブな記憶は、とても根深く意識に残るもので、そう簡単には脱出できるものではありません。
ですが、過去の出来事というのは、現在から未来にかけて、後から書き換えていくことはいくらでも可能です。
「過去は変えられない」という言葉がありますが、もちろん過去に起こった「出来事」は変えることは出来ません。
それでも、時間をかけて記憶と向き合っていくことによって、起こった「出来事」は変えられなかったとしても、それに対する自分の「解釈」「感じ方」「結果」は、そこからどれだけ時間が経ったとしても、いくらでも自由に変えることが出来ます。
なぜ、アドラーが「トラウマは存在しない」と唱えているのかは、「人はある目的を達成するためにトラウマを創り出している」と続けています。
このことから、一見トラウマのように感じる記憶でも、今現在に存在している重要な目的のために、そこに留まろうとしている心理が働いていることがわかります。
仮に、それらのトラウマに苦しめられているとすれば、「自分の目的はなんなのか?」「達成したいゴールはどこなのか?」を自問してみるといいでしょう。
トラウマ的な記憶と向き合う作業は、瞑想やノートへの書き出しなどの内観で発見することが出来ます。
これが、今も自分自身の中にトラウマが存在していることの最大の意味で、本来の自分を知るヒントともなります。
ここまで自分の力で進むことが出来れば、あとはそのトラウマのような過去の記憶への意味付けを書き換えていくだけです。
「課題の分離」を理解して人生を前へ進める
「課題の分離」が最も人間関係で難しいところなのですが、これが出来るようになれば、シンプルに生きることが出来るようになり、人生はとても楽な方向へと進み始めます。
何かに思い煩ったり、いつも頭を悩ませているのであれば、何が自分の課題であって、どこからが他者の課題なのかをはっきりと整理してみることから始めてみましょう。
別の言い方をすれば、自分にコントロール出来ることと、出来ないことを分けるということです。
これが理解できずに、他人を都合よくコントロールすることによって、無意味に自分がストレスを感じることになり、それと同時に、接触している他人にもストレスを与え続けることになります。
「課題の分離」が出来ずにあれこれと手を加えることによって、人間関係が悪化したり、トラブルへと発展していき、より人生は複雑な方向へと向かってしまうのです。
自分自身が今、何が辛くて、何を悩んでいるのかを思い出してみるといいでしょう。
恐らく、そのほとんどがどうにも出来ないことのはずです。
そこから離れるためには、自分の課題を明確にし、他人の課題へは介入しないことです。
それは、例え恋人や友人、家族であってもです。
どれだけ親しい仲であったとしても、それぞれが別々の生き物であり、全く違った人生を歩んでいます。
そこに介入したくなり、他人の課題まで背負い込もうとしていることこそが、自分の解決すべき課題そのものとも言えます。
自分自身の課題を解決していないから、他人のことが気になってしまうのです。
自分自身の人生のコマを、一歩でも前に進めるためには、「課題の分離」をきちんとおこなって、自分の課題のみと向き合っていくことから始めましょう。
シンプルな答えへと導かれていく
トラウマによる「目的論」、人間関係での「課題の分離」の二つを理解し始めると、おのずと答えはシンプルになってくるはずです。
トラウマから抜け出せないでいる場合、「なぜそうなったのか?」という原因追究の思考で考えているからであって、自分自身の今の「目的」が見えていないからです。
もちろん、原因を突き止めることから学びを得ることは出来るので、全くの無駄な思考とはなりませんが、すぐにその過去を「次はこうしよう」という記憶に変えることさえ出来れば、トラウマとはならずに記憶は消え去っていきます。
また、「課題の分離」で思考をクリアにしていくと、トラウマから導き出す自分自身の今の「目的」と、自分の今の「課題」が近いものになる、もしくはぴったりと一致してくるはずです。
そして、今からやること、やりたいことは集約されて、たったひとつの答えへと辿り着くことが出来るはずです。
ここでの「答え」というものは、誰もが共通した内容のものではなく、タイミングや環境、人によって全く違ったものになりますが、その「答え」への確信は、自分自身で必ずわかるはずです。
アドラー心理学も、始めは複雑なことを言っているように聞こえるかもしれませんが、本当はとてもシンプルな考え方でしかありません。
「今」、自分が「どうしたいのか?」のみが答えとなります。
他人の課題を背負わず楽しく生きよう!
自分の課題と、他人の課題をきちんと分けることが出来れば、人生はとても楽になります。
仕事、スポーツ、友人、恋愛、夫婦、子育てなど、あらゆる場面で「課題の分離」や役立ちます。
きちんと会得して行動することを習慣化すれば、他人の評価を気にすることはなくなり、失敗への怖れも持たなくなります。
ただ、「課題の分離」をきちんと行っていくためには、「自分の課題」だけはきちんと果たさなくてはいけません。
全てが人間関係で出来ている以上は、何をやっても同じです。
頼まれたことをこなし、伝えたいことを伝え、感じていることを表現し、自分に出来ることを全てやり切ってしまえば、あとは評価者である他人が決めることです。
それ以上は、自分は介入することは出来ませんので、考えても悩んでも意味のない範囲となります。
慣れないうちは、少し苦しい思いをすることもありますが、自分自身がきちんと課題と向き合って取り組むことが出来ていれば、おのずと関係性は良好なものになっていきます。
「自分の課題は何か?」をしっかりと考え、向き合い、全うすることによって、人生はどんどん楽な方向へとシフトしていくはずです。
そして、気が付けば、自分自身が問題だと思っていたことは、問題ではなくなっていき、悩みや恐怖は完全に消えてなくなってしまい、毎日が楽しくなってくるでしょう。