ストレスとなる考え方や行動は、一度癖がついてしまうと、無意識のうちに人格を変えていき、人生も暗いものになってしまいます。
アドラー心理学の目的論は、何をどうやってもポジティブにしか考えることができず、自分に厳しいながらも、前向きな行動を促します。
いつも後ろ向きな生き方で、不幸な人生を歩まないためにも、思考の癖を変えていきましょう。
いきなりベクトルを変えることは難しくても、ほんの少し角度を変えるだけで、数年後の行き先は大きく傾きます。
これからの人生があとどれくらいあるのかは誰にもわかりませんが、少しでも幸せな時間を増やしていくために、よりポジティブで前向きな思考へとシフトしましょう。
それはどうでもいい
何かが起こった時、または終わったことについて語る時、何がどうであって、なぜそうなったのかを深く掘り下げる場面は多くあります。
探求し、研究する上では大切なことかもしれません。
しかし、こういった議論をいつまでもしていることは、ただの時間とエネルギーの無駄。
また、そういった場所に多く触れることで、自分の思考も影響を受けてしまい、いつも過去の出来事の原因を探す癖がついてしまいます。
これほどに不幸なことはないので、ある程度の原因がわかった時点で、早めに話題を切り上げなくてはいけません。
話題に飲み込まれている時は、それに慣れてしまって気づかないことが多いものですが、客観的に、俯瞰してみてみると、「それはどうでもいい」ということに気づくはずです。
この「どうでもいいこと」を話しているということに、どれだけ早く気が付くのかです。
長すぎる議論は、必ず脱線していき、どうでもいいことの言い合いになります。
もはや、目的を見失った状態となっていきますので、せめて自分だけはいち早く抜けることです。
目的論を常に意識する
ユングやスイフトの原因があって結果があるという「原因論」に対して、アドラーは目的を達成するために過去から原因を持ってくるのだと言っています。
これは、どちらが正しいのかは誰にもわかりません。
どちらも正しく、人間がどのような心理で動いているのかは誰もわからないことです。
ただ、心理学として「こうである」という着地点を設けるために必要なもので、「原因論」は「だからこうなった」、「目的論」は「それは言い訳」ということです。
つまり、起った出来事への考え方、解釈の違いだということです。
それによって、その後の身の振り方は大きく変わりますので、過去の出来事に対して、どちらの解釈がより建設的で、幸せなものなのかということです。
原因論は行き止まりになる
どちらがいいのかは、人それぞれ自由です。
ただ、「原因論」と「目的論」を、同じ出来事で例えてみるといいでしょう。
原因論は、何かが起こったのには原因があって、そのせいで出来ないことがあったり、得意になったりすることがある。
それを自らの生い立ちや、今ある人格と照らし合わせてみて下さい。
かなり当てはまるところはあり、統計上でも納得のいく結果になるのは間違いありません。
ただ、問題はその次のステップです。
「原因論」は、突き詰めていくと「だから何?」となってしまうのです。
それを知ったところで、最終的には行き止まりになってしまうのです。
また、自分ではない誰かや、環境などの外的要因のせいにしてしまうという結果に終わります。
これは、仮にそれが真実だとしても、全ての出来事がそうだということにしてしまえば、全く前へは進めなくなるのです。
この原因論が定着してしまうと、全く意味のない悩みを抱えたり、議論や話し合いを続けたりしてしまうのです。
目的論なら前向きになれる
原因論は、その原因を突き止めるのに対し、目的論は、自分自身が何かの目的を達成するために、過去から原因のようなものを引きずり出していると言っています。
これは、全体的に見てみると、原因論のその先まできちんと考えられた、前向きな心理学と言えます。
目的論は、「それは言い訳だ」「やらない理由を生み出している」という本人には厳しいものです。
しかし、これは悩みを抱える人自身にとっては、確実に的を射ているもので、次の改善策へとつなげることができます。
原因論は「だから何?」と終わっていたところ、目的論は「だから何?」の先へと進み「それがどうした?」「それならやめれば?」というところまで引き出されます。
厳しいように思えても、原因論で外的要因や他者のせいにして終わるよりも、「それはあなたの言い訳」「それならどうする?」と問われる目的論のほうが、前向きな考え方で、解決策を嫌でもひねり出さなければいけなくなるのです。
改善策で前へ進もう
原因論は、外的要因に原因を見つけ、責任を誰かに押し付けることで悩んでいる人を解決させます。
目的論は、その人の中にある言動と行動の矛盾をつきつけ、自分を改めさせます。
どちらが良くて、どちらが正しいというわけではありませんが、前向きで次の行動へと進みやすくなるのは、目的論だと言えます。
議論を重ね、意味のない話し合いを続けていった結果、「だから何?」「じゃあどうする」と即座に切り替えるほうが、解決へはスムーズに進みます。
つまり、「言い訳を探すのは辞めて、これからどうするのかだけを考え、話し合おうよ」ということになっていくはずです。
「これがこうだったからこうなった」と言っていても、何の意味もありません。
「こうなってしまったけど、次はこうしよう」そう考えていくことで、失敗は成功の素となり、何が起こっても前向きに進めます。
今が全て
過去は振り返るだけにして、いつまでも悔やんでいても仕方がありません。
そういった経験をしたのだから、これからはこうしていこう。
それだけで十分です。
残りの時間で、今が一番早い時です。
この先の未来は、今が作り上げていきます。
今、ここで関係のないことを考えるのはやめて、前へと進みましょう。
今が全てです。
原因を探すことは、答えを探すこと。
それはどうでもいいから、これからは今を一生懸命生きましょう。